【インタビュー記事】私の福島との再編集。JA時代の初心に帰り、東京と福島を繋ぐ八百屋を始めるまで ー 鈴木さん(3期生)インタビュー

東京相双化計画のゆうかです。
2026年9月より、東京相双化計画が始まるきっかけとなったふくしま未来創造アカデミーの5期がはじまります!

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5期のテーマは「暮らし」と「仕事」の再編集
そこで本メディアでは、1期生から4期生までのOG・OBの先輩たちがアカデミーでどのような体験をしたのか、どのような「再編集」があったのかについて、インタビューをし、ご紹介していきたいと思います!

一人目は3期生の鈴木さんです。

鈴木さんプロフィール

福島県福島市生まれ。29歳。 新卒で地元のJA(農協)に就職し、福島の農業の魅力に触れると同時に、規格外野菜の廃棄や価格下落といった流通の課題を痛感する。その後、東京の食品メーカーへ転職するが、「農業の課題解決に貢献したい」という想いを持ち続ける中で、アカデミーの3期に参加。

アカデミー修了後、より消費者に近い場所で規格外の価値を伝えたいと、一度「八百屋」へ転職。 現在は、平日は食品のアップサイクルに取り組むフードテックのスタートアップ企業で働きながら、週末は個人活動として週に1回、車で東京と福島を往復する生活を送る。練馬区のシェアキッチンで福島の規格外の桃やハーブティーを販売する週末八百屋の運営や、福島の「浜・中・会津」をテーマに自家焙煎したコーヒーを提供するなど、仕事と暮らしの両面から福島を精力的に応援している。

目次

まずは現在のお話から

Q1. まず、今どんなお仕事や活動をされているのか、改めて教えてください。

平日はフードテック企業、週末は福島と東京をつなぐ「八百屋」に。仕事と個人活動、二つの軸で活動しています。

現在は平日の本業と週末の個人活動を両立し、2つの軸で活動しています。

平日は、食品をアップサイクルするフードテックのスタートアップ企業で働いています。地方の規格外の農作物や食品工場で出る未利用資源に新たな価値をつけて世に送り出す仕事で、この会社に転職したのもアカデミーがきっかけです。

週末は、福島に関わる個人活動をしています。一番大きいのは、福島の規格外の農作物(今の時期は桃)を仕入れて、東京で販売する「八百屋」としての活動です。現地では安く売られてしまう規格外品を、農家さんから福島で売るよりも高い価格で仕入れ、東京で適正価格で販売することで、お互いに「ウィン・ウィン」になる形を目指しています。

福島の桃

他にも、川俣町のぶどう農家さんや飯舘村でハーブティーを作る方など、アカデミーをきっかけに出会った農家さんのPRや販売も行っています。練馬区のシェアキッチンで毎週日曜日にお店を出しているのですが、毎週続けていると「今週も来たよ!」と言ってくれる地域のリピーターさんも増え、少しずつコミュニティの輪が広がっているのを感じています。活動を始めてちょうど1年くらいになりますね。

さらに、大好きなコーヒーの活動も並行しています。自分で豆を焙煎し、味わいを「会津風」「中通り風」「浜通り風」と福島のエリアで表現しながら、コーヒーを通して福島を知ってもらえるような活動をイベント中心に行っています。

販売しているコーヒー豆

アカデミーに参加する前

Q2. アカデミーに参加された当時は、どんなお仕事や暮らしをされていたんですか?

農業の課題を解決したい——。その想いを抱えながらも、どう動けばいいのか模索していました。

新卒の時は地元のJAで働いていました。そこで農業界が抱える課題を痛感し、それを解決したいという思いと生活の変化が重なって、東京の食品メーカーへ転職しました。ただ、東京では「農業の課題をどう解決すればいいのか」という想いを具体化できず、日々模索している状態でした。

Q3. どうしてふくしま未来創造アカデミーに参加してみようと思ったんですか?

「もっと福島に関わりたい」。そんな想いと、まだ知らなかった浜通りへの興味が、参加のきっかけでした。

「福島に関わりたい」とぼんやり考えていた時に、アカデミーの広告を見かけたのがきっかけです。私は福島市生まれで祖父母が会津にいたため、中通りと会津は馴染みがありましたが、浜通りには行ったことがありませんでした。知らない浜通り(相双地域)を深く知り、関わる良いきっかけになると思い、参加を決めました。

アカデミーでの経験

Q4. アカデミーに参加して、一番印象に残っている出来事や出会いは何ですか?

浜通りの農家さんとの出会いが、「農家さんが育てたものの価値を届けたい」という想いを、より強いものにしました。

実は私、仕事の出張が重なってしまい、期間中に一度もフィールドワークに行けなかったんです(苦笑)。本当に悔しい思いをしたのですが、ここからがアカデミーのすごいところで。

事務局の皆さんがすごく気にかけてくださって、アカデミー終了後に、私のやりたいプロジェクトに近い人と一緒に浜通りの農家さんを回る機会を企画してくれたんです。そこで双葉町、浪江町、南相馬市、飯舘村の農家さん4件を訪問することができました。

その時の出会いは今でも強く印象に残っています。例えば双葉町で農業を再開されたキャベツ農家さんです。インフラが整っていない困難な状況の中で栽培されている姿を見て、「農業ができることは当たり前じゃないんだ」と気がつき、リスペクトの気持ちを抱きました。 同時に、せっかく育てたキャベツの売り先がなく、近隣の工場に安く買い叩かれるという厳しい現実も見ました。JA時代にも、豊作時の価格下落で出荷できず廃棄される流通構造に課題を感じていましたが、浜通りの農家さんの現実を目の当たりにしたことで、「形が歪でも傷があっても、農家さんが一生懸命育てたものに変わりはない。この流通課題を解決してサポートしたい」と改めて強く感じたんです。

双葉町のキャベツ
双葉町での景色

Q5. 参加する前と後で、自分の考え方が変わったなと思うことはありますか?

想いは、行動へ。八百屋への転職、そして毎週福島へ通う暮らしへと、大きく変わっていきました。

アカデミーを機に、考え方と行動が大きく変わりました。終了後、最初に起こした行動は「八百屋への転職」でした。直接消費者に販売できる立場から、規格外野菜が当たり前に流通する社会を作りたいと考えたからです。

実際に八百屋で働きお客さんと接する中で、「消費者は、形がいびつだったり傷があったりする規格外を、思ったほど気にしていない」という意外な事実に気づきました。私たちが「売れない」と思い込んで廃棄しているだけで、価値を直接伝えれば当たり前に手に取ってもらえるんだと分かったんです。

市場流通できない規格外の桃

暮らしの面でも生活は一変しました。以前はお盆に帰省する程度でしたが、活動を始めてからは「週に1回、車で福島へ往復する」生活です。平日は本業、土曜日は福島で農家さんをお手伝いし、日曜日の朝に収穫した桃を車に積んで東京に戻り、そのまま販売する。「いつ休んでいるの?」と心配されますが、私自身は楽しくて、幸せですね(笑)。

飯舘村のハーブ農家さんで収穫作業

アカデミーから「今」へ

Q6. 振り返ってみて、「あの経験が今につながっているな」と思うことはありますか?

八百屋への転職から、今の仕事や週末の活動まで。すべての始まりには、アカデミーで踏み出した最初の一歩がありました。

今のフードテックの仕事、週末の八百屋やコーヒーの活動、すべてが繋がっています。アカデミーで自分の想いを整理し、仲間や事務局に支えられて「八百屋への転職」という最初のアクションを起こしたことが、すべてのスタートラインでした。

八百屋での仕事

Q7. アカデミーを通して、自分自身について新しく気づいたことってありましたか?

「自分って、意外と行動力がある」。福島への想いが、自分でも知らなかった一面を引き出してくれました。

「自分って意外と行動力があるんだな」って思いました(笑)
それまでは物事をゆるゆると進めるタイプだと思っていましたが、この1年間の活動を振り返り、周囲からも「行動力があるね」と言われて初めて自覚しました。

なぜこれほど動けたのかな?といま思い返すと、「農業を通じて福島に貢献したい」という、JA就職時に持っていた『初心・原点』にアカデミーが立ち返らせてくれたからです。大切にしたい軸がクリアになったからこそ、迷わず一歩を踏み出せました。

今の「暮らし」と「仕事」

Q8. 今、暮らすことや仕事をするうえで、大切にしていることは何ですか?

大切にしているのは、人との「出会いと繋がり」。一つひとつの縁が、次の活動へと広がっています。

「関わる人との出会いや繋がり」を大切にしています。 浜通りで出会った農家さん、アカデミーで出会った同期や事務局、東京のお客さんたち。そうした人との繋がりから、新しい活動や仕事がどんどん広がっています。アカデミーで出会った素晴らしい人たちとの繋がりを大切にすることが、今の私の暮らしと仕事を豊かなものにしてくれています。

アカデミー後にボランティアで参加した飯舘村の例大祭

これから参加する人へ

Q9. これからアカデミーに参加する5期生に、伝えたいことはありますか?

迷っているなら、まずは飛び込んでみて!

「仕事が忙しくてフィールドワークに行けないかも」と迷っている人がいたら、「心配せずに、まずは飛び込んでみて!」と伝えたいです。まさに私自身がアカデミー期間中に一度も現地に行けなかったタイプですが、それでも事務局が親身になってサポートしてくれ、終了後には福島を訪問する機会も作っていただきました。福島に貢献したい、自分の仕事や暮らしを見つめ直したいという想いさえあれば、温かいサポートと素晴らしい出会いが必ず待っています。ぜひ恐れずに、この楽しい世界に一歩を踏み出してみてください!

インタビュー後記

鈴木さんが活動しているシェアキッチンでは、鈴木さん自身が「本当に美味しいから食べてほしい!」と心からおすすめする桃やハーブティーが並び、地域の人々の温かい憩いの場になっています。そんな鈴木さんの「楽しいからできちゃう」というポジティブな熱量が、これからも福島と東京を優しく繋ぎ続けていくのを感じる、素敵なインタビューでした。ご協力ありがとうございました!

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この記事を書いた人

Yukaのアバター Yuka Web・写真担当

ふくしま未来創造アカデミー1期生。
Webサイトの運用を担当しています。
宮城県仙台市出身。祖父母の住んでいる福島が好きで、アカデミーを通して東京相双化計画を考えました。
趣味の写真で、相双の魅力や活動の様子を楽しくお伝えします!

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